COLUMNコラム
コロナ禍での広告
2024.12.28
広告業界は極めて景気に弱い業種と言われます。リーマン・ショックしかり、新型コロナウイルスの影響でも広告費の落ち込みが顕著に表れました。コロナまん延の足音が聞こえてきた昨年初めは、そこまでなかった”暗雲”が、その後の緊急事態宣言発令で一気に立ち込めました。
広告が持ついろいろな役割の中の一つが「集客」です。「人を集めてはいけない」という今回のコロナ禍では、その役割は相反するものとなります。そのため企業が広告出稿を控え、あおりを受けた広告業界では減収減益決算になった会社が多くありました。そうした状況は現在も続いています。
しかし、どんなに不景気の時でも元気な会社は存在するものです。広告業界の中ではホームページ制作やリモートでの集客、電子商取引(EC)を手掛けるデジタル系の会社は「猫の手も借りたい」状況。弊社も数年前からデジタルシフトを進め、既存の広告予算をデジタルに振り分け、減収を最小限にとどめることができました。
一方、公共交通機関の利用を避ける消費者心理からマイカー需要が上向きとなり、車の販売は好調です。住宅は一戸建てが売れるなど広告主の動きが出ています。
「経営は環境適応」と言われます。広告手段は常に変化しながらも、広告を必要とする業種や会社は必ず存在します。誤解を恐れずに言えば、景気が良い時に「経営すること」はそこまで必要ないのかもしれません。今のような時こそ、変化に適応した経営が大切と実感しています。
熊日夕刊コラム「一筆」より転載
(2021.7.31掲載)