COLUMNコラム
広告に必要なこと
2024.12.28
読者のみなさんは「広告」にどのようなイメージをお持ちですか?
新聞やテレビ、ネット、会員制交流サイト(SNS)、屋外の看板、タクシーに乗れば目の前に映像、スーパーで試食を勧められる⋯。日々の暮らしの中で、「一方的」に飛び込んでくるのが広告です。辞書によると広告とは「世間に広く知らせること」。広告主は、広く知らせる目的を達成するために広告を出しています。
その広告の特徴である「一方的」には注意するべきことがあります。「広告は全ての生活者にとって必要なもの」という前提で、求められていなくても、生活者には一方的に届きます。一方で広告主は何とか届けようと工夫し、私たち広告代理店は、そのお手伝いをします。
その際に、一方的に広告を出す私たちが気を付けるべきことは、「生活者が不快に感じていないか?傷ついていないか?」という視点。「広告は公害」と世界的に有名な、あるクリエーターが言いました。自虐過ぎる面もあると思いますが、私はその言葉に共感しています。一方的に届けるからこそ「自分たちの広告は公害になっていないか?」と自問し続けるのです。
プロモーション(広告)は近年、生活者とのコミュニケーション手段と言われますが、受け取る側からすれば、感じ方は千差万別なので100点満点のものは存在しません。しかし広告には力があります。だからこそ謙虚さと誠実さが必要だと思います。改めて広告の意義を広告主やメディア、クリエーターと考え続けたいと思います。
熊日夕刊コラム「一筆」より転載
(2021.7.3掲載)